2026/05/29 17:50
久しぶりに、ミニ財布の形の改善案が思いついたので試作を繰り返していました。
もっと使いやすくできないか。
もっと気持ちよく使える形にできないか。
そんなことを考えながら、何度も革を切って、組み直して、実際に触ってみる。
でも、当然そんな簡単には形になりません。
全くダメというわけではない。
でも、自分の中の「これならいける」という感覚には届かない。
結果的に、また振り出しに戻る。
ものづくりをしていると、こういうことは本当によくあります。
形にはなっている。
使えなくはない。
でも、なんか違う。
あと少しな気もするし、根本的に方向が違う気もする。
型紙に赤字を書きこんでいるうちに、変更点が増えすぎて、わけがわからなくなる事もあります。
試作を重ねるほど、逆に見えなくなることもある。
お蔵入りになった試作も山ほどあります。
そのたびに、なんで自分はこんなにうまくできないんだろうって思うし、他の作り手さんを見ると、すごいなって素直に思います。
次々に新しいものを形にしている人を見ると、どうやって商品開発してるんだろうって本当に不思議になる。
この前のデザインフェスタでも、他のブースを見ながら、自分に足りないものばかり探してしまっていました。
もっとセンスがあれば。
もっと発想力があれば。
もっと形にする力があれば。
そんなことばかり考えてしまう。
でも結局、こうやって悩みながら試作を繰り返して、また革を切って、振り出しに戻って。
その繰り返しの中でしか、自分の形には辿り着けないんだろうなとも思います。
まだ答えは何一つ出ていません。
今回の試作も、完成とは呼べないままです。
それでも、また何か試したくなってしまう。
ものづくりって、たぶんそういうものなんだと思います。
たまに昔作ったモノや失敗作を見返すことがあります。
今見ると、縫い目も粗いし、形も歪んでいる。
コバの処理も甘いし、革の厚みの選び方も今とは全然違う。
完成度だけ見れば、正直うまくない。
「よくこれで満足してたな…」と思うものもあります。
でも、不思議と捨てられません。
たぶんそこに「その時点での自分ができる最高」が残っているからだと思います。
「どうしたらもっと綺麗に作れるんだろう」
「なんでここだけうまくいかないんだろう」
そんなことを考えながら、何度もやり直していた時間。
失敗ばかりだったけれど、確かに前に進もうとしていた跡があります。
しかも面白いことに、後から見返すと「これ、何が失敗だったんだっけ?」と忘れてことも結構あります。
当時は真剣に悩んで、納得いかなくて、何度も試行錯誤していたはずなのに、時間が経つと案外覚えていない。
でもその失敗があったからこそ「じゃあ次はこうしてみよう」が生まれて、少しずつ改良されていく。
気づけば、今作っている形につながっていたりします。
だから正確には失敗はではなくて「完成へ向かう途中」なんだと思います。
SNSでは綺麗な完成品が並ぶことが多いけれど、実際のものづくりって、その裏でたくさん失敗しています。
一回で理想通りにできることなんて、ほとんどありません。
縫ってはやり直して、作っては崩して、また試してみる。
その繰り返し。
でも、その時間があるからこそ、少しずつ自分の形になっていきます。
完成品した際の喜びは計り知れないけど、その裏側の不格好な試作には、その時にしか出せない熱量があります。
「もっと良くしたい」って必死だった跡が残っている。
完成されたものにはない、生っぽさみたいなものを感じます。
だから今でも、昔の失敗作を捨てられずにいます。
たぶんこれから先も、増え続けるんだろうなと思います。
革や糸の色選び、使い方やお手入れのことなど「これってどうなんだろう?」と思ったことがあれば、気軽に聞いてもらえたら嬉しいです。

