2026/04/30 19:43
革製品についてお客さんとお話していると、時々こんな言葉を聞くことがあります。
「革って経年劣化がいいですよね」
「使い込むとこんなふうに経年劣化していくんですね」
言いたいことはとてもよくわかります。
使い始めた頃とは違う表情になり、色味や艶が深くなっていく。
これこそ革製品ならではの楽しみだと思います。
ただ、革小物を作っている立場としては、正直なところ「経年劣化」ではなく、「経年変化」という言葉で感じてもらえたら嬉しいなと思っています。
「細かいな」と思われるかもしれません。
たった一文字しか違いませんが、僕にとっては似ているようで全く違う言葉です。
経年劣化という言葉には、どうしても「新品がいちばん良くて、時間とともに少しずつ古くなっていく」というニュアンスがあります。
もちろん、物である以上、傷がついたり使用感が出たりすることはあります。
でも、革製品はそれだけではありません。
使う人の手に触れ、日々持ち歩かれることで、革の色は少しずつ深まり、表面には自然な艶が生まれていきます。
最初は少し固めだった革が、だんだん手に馴染み、その人だけの表情になっていく。
だから革は「古くなる」というより、育っていくものだと思っています。
この変化こそが、革製品のいちばんの魅力かもしれません。
新品の状態が完成形ではなく、使い始めてから少しずつ完成していく。
そういう素材は、なかなか珍しいと思います。
天然素材だからこそ、ひとつとして同じ変化はありません。
どんな色になっていくのか。
どんな艶が出てくるのか。
時間をかけて楽しめるのが、革という素材の面白さだと思っています。
だから僕は、革のことを「経年劣化するもの」ではなく「経年変化を楽しむもの」として届けたい。
ATELIER SABOの革小物も、使うほどに少しずつ育っていく過程を、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
【今後の出店予定】
■土澤アートクラフトフェア
5月3日(日)-4日(月・祝) | 岩手
■デザインフェスタ Vol.63
5月23日(土)-24日(日) | 東京
革や糸の色選び、使い方やお手入れのことなど「これってどうなんだろう?」と思ったことがあれば、気軽に聞いてもらえたら嬉しいです。
