2026/04/15 20:15
少し前にお財布を購入してくださったお客さんが、ご自身用に続いて、お母さんへのプレゼントとしてもう一つお財布をオーダーしてくださいました。
そのやり取りの中で、印象に残ったお話がありました。
「母が、何にでも名前を書くんです」
冷蔵庫や給湯器、掃除機など、家の中のあらゆるものに名前が書かれているそうで、今回のお財布にも、もしかしたら名前を書くかもしれない、という話でした。

聞いた時は少し驚きました。
でも話を聞いているうちに、それがただの癖ではなくすごく本質的なことのように思えてきました。
子どもの頃は「誰のものか分かるようにするため」だった名前書きも、大人になってからは、自分の中でそのモノの存在をちゃんと認識するための行為に変わっていくのかもしれません。
そのモノとの距離がぐっと近くなり、少しだけ特別になる。
そうやって生まれた関係性が、長く使うことにつながっていくのだと思います。

これまでATELIER SABOでは、革製品への名入れは行っていませんでした。
自分自身がそういうものを求めるタイプではなかったからです。
でもこの話を聞いて、自分の中でも少し考えが変わりました。
名入れというのは単なるカスタマイズではなく、モノとの関係を少し深くするきっかけになるものなのかもしれない、と感じています。
後日談ですが、今回はお財布に直接名前を書くのではなく、厚紙に書いてカード入れ部分に入れておくそうです。
もしかしたら、いつか直接書かれる日が来るかもしれません。
そのときこのお財布はきっと、ただの道具ではなくその人にとっての特別な存在になっているんだと思います。
そうやって長く使われていくモノを作れているのだとしたら、それは作り手としてとても嬉しいことです。

【オーダー品】
めっちゃ入る三つ折り財布
外側:ヴァイオレット × 内側:イエロー
糸:イエロー
【今後の出店予定】
■土澤アートクラフトフェア
5月3日(日)-4日(月・祝) | 岩手
■デザインフェスタ Vol.63
5月23日(土)-24日(日) | 東京
革や糸の色選び、使い方やお手入れのことなど「これってどうなんだろう?」と思ったことがあれば、気軽に聞いてもらえたら嬉しいです。

