2026/02/11 19:55
数年前までは、積極的にセミオーダーを打ち出してはいませんでした。
対応はしていましたが、あくまでご要望があれば、という形でした。
その理由のひとつは、自分なりに考えた色の組み合わせや形に自信があったからです。
いろいろな組み合わせがある中で、自分が「いい」と思えるバランスをかたちにして、それを定番の商品として販売する。
その完成された組み合わせを届けることが、作り手としての役目だと思っていたのだと思います。
でも、セミオーダーを続けていくうちに、少しずつ考えが変わってきました。
もしかしたらそれは「自分のエゴだったのかな」と。
お客さんは自分の好きな色や形を、真剣に悩んで選びます。
ときには相談もしてくれます。
「この色とこの色、合いますかね?」
「長く使うなら、どちらがいいと思いますか?」
そんなやり取りを重ねながら、ひとつの組み合わせが決まっていきます。
その時間そのものが、もしかしたら大きな付加価値なのではないかと、最近は思うようになりました。
自分で選んだとはいえ、完成するまではきっと不安もあると思います。
「本当にこの組み合わせでよかったかな」
「ちゃんと仕上がるかな」
実物を見るまでは、少しドキドキするはずです。
だからこそ、完成した財布を見てもらったときに「やっぱりこれにしてよかったです」「想像以上でした」そう言ってもらえる瞬間は本当にうれしいです。
最近では「待っている時間も楽しかったです」そんな言葉までいただくようになりました。
以前の自分は完成した「モノ」に価値があると思っていました。
でも今は選ぶ時間も、待つ時間も、すべて含めてものづくりなんだと思えるようになりました。
定番を信じていた頃の自分も、間違っていたとは思いません。
でも今は、お客さんと一緒になって考えて作るのも楽しいです。
自分が用意した正解を届けるのではなく、一緒に悩んで、一緒に決めて、一緒に完成させる。
セミオーダーは、そんな体験を届ける仕事なんだなと最近は感じています。
革や糸の色選び、使い方やお手入れのことなど「これってどうなんだろう?」と思ったことがあれば、気軽に聞いてもらえたら嬉しいです。

