2026/01/16 17:11
いくらか前に、知り合いの作家さんからこんな相談を受けました。

「使っている革がなくなってしまって、この革を扱っているところを知らないですか?」
これは決してヒト事ではない話。
というのも、うちでもイタリアの革を使っていて、欲しいと思ったときにすぐ手に入るものではないからです。
イタリアの革は、日本に入ってくるまでにどうしても時間がかかります。
基本的には船便での輸入になるため、早くても数ヶ月かかることがほとんどです。
たまに飛行機で日本に入ってくることもあるようですが。
そのため、自宅にある革の在庫を見ながら「そろそろ発注しないといけないな」と定期的にチェックはしているものの、厄介なのがこちらの在庫が少なくなってきたタイミングで革屋さんにも在庫がないというケース。
そうなると「次の入荷は数ヶ月後になります」という返事が返ってくることも、珍しくありません。
数週間待てばいいという話ではなく、本当に数ヶ月、タイミングが悪いとワンシーズン以上待つ場合もあります。
革がなければ、当然革製品は作れません。
ですが今欲しいからといって、今すぐ買えるわけでもありません。
かといって前もって大量に革をストックしておくのも簡単ではありません。
革は保管場所を取りますし、当然その分のお金も必要になります。
在庫を持つことは安心でもありますが同時にリスクでもあります。
そのため「思ったときに買えない」「欲しいときにすぐ届かない」という前提の中で、発注のタイミングや作るペースを考えています。
お客さんから見ると、革製品は「材料はいつでもあるもの」「作ろうと思えば作れるもの」そう見えるかもしれません。
ですが実際には革があり、作れる状態が整ってはじめてスタートラインに立てます。
作る前の段階で、すでにものづくりの下準備は始まっています。
今回の相談をきっかけに、改めてそんなことを考えました。
こうした裏側も含めて、ものづくりの一部だと思っています。


