2026/01/13 17:41
性能や機能を訴求するのは、革製品を販売するうえで当たり前のことだと思っています。

収納力や薄さ、耐久性。
使う人からすれば、どれも大事な要素です。
特にクラウドファンディングをやっていた頃は、それをどれだけ分かりやすく伝えられるかが、そのまま評価につながっていました。
どこが新しいのか。
何が他と違うのか。
どんな不便を解消するのか。
当時は、それを語ることが正義でしたし、実際にそのやり方に助けられた部分も大きかったと思います。ただ最近その「機能を語ること」だけでは、何か足りないような感覚を持つようになりました。
理由は単純でどのブランドも、同じようなことを言っているからです。
薄くて、軽くて、収納力があって、丈夫で、長く使える。
ある程度のラインを超えたら正直どれも「ちゃんとした革製品」だと感じます。
そこをどれだけ磨いても、それを一番の理由に選ばれる未来が、少し想像しにくくなってきました。
結局、本当の使い心地や満足感は、使ってみないと分かりません。
写真や文章で伝えられるのはせいぜい入口までです。
毎日使って何度も手に取って、気づいたら当たり前の存在になっている。
その時間を経て初めて「これでよかったな」と思えるかどうかが決まるのだと思います。
そう考えると個人のブランドが、機能や性能だけで大手に勝てるとは思えません。
じゃあ何が人の心を動かすのか。結局のところ一番は、感情の部分です。
便利だからではなく、多機能だからでもありません。
これを持っていたらちょっと気分がいいなとか、この革製品を選んだ自分が好きだな、とか。
誰かに説明するための理由ではなく、自分の中でちゃんと納得できる理由。
そういう感情の方が実はずっと強いのではないかと思います。
それはデザインそのものかもしれませんし、そのモノが持つ特有の空気感かもしれません。
あるいはそれを作っている人の姿勢や、ものづくりに向き合う温度感に共感してもらえるかどうかなのかもしれません。
「これを自分が使っているところが想像できる」「生活の中に無理なく入り込む」
そんな感覚です。
言葉にすると曖昧ですが、人は案外そういう部分を頼りにものを選んでいるのかもしれません。
機能を語らない、という話ではありません。
機能は前提として必要ですし、不安を取り除くためにも欠かせません。
ただそれだけでは語りきれない部分が、確かにあると感じるようになりました。
機能を理解した上で、最後に背中を押すのは、「これ、好き」という心を揺さぶる感情です。
たくさんの人に刺さらなくてもいい。
でも感覚が近い人には、ちゃんと深く刺さってほしい。
機能を語るのがつまらなくなったというより、それだけでは語りきれなくなった。
今はそんなふうに感じています。


