2025/12/13 23:28
色でこんなに悩むなんて、自分はセンスがないのかな?
革小物のセミオーダーをご検討中の方から、こんな言葉を聞くことがあります。
でも、まず最初にお伝えしたいことがあります。
色で悩むのは、センスがないからではありません。
むしろその逆で、ちゃんと考えているからこそ悩むのだと思っています。
正直に言います。作り手のサボさんは色であまり悩みません
これは自慢やマウントとかそういう話ではなく革の仕事を始める前は、18年近く広告デザインの仕事をしていた経験があるからです。(ただただ激務で辛くキツかった歳月)
広告デザイナーは常に色に携わる仕事なので、制作するときもサンプルを作るときも色を数値で判断できるようになります。
専門的な話になりますが印刷物であればCMYK、WEBであればRGBの数値で色の濃度やトーンなどを判断します。
でもそれは、僕が特別センスがあるからではなく、これまで何百、何千、何万点とデザインしてきたこと、色の組み合わせで失敗した経験も、成功した経験も山ほど体験していること、革が時間とともにどう変わるかを、頭ではなく体で知っていること、こうした経験の積み重ねがあるからです。
だからお客様が色で長く悩まれるのを見て「そりゃ悩むよな」と感じる一方で、相談を重ねるうちにだんだんとその理由がわかってきました。
なぜ、色でこんなにも悩んでしまうのか
色選びで悩む理由は、とてもシンプルです。
それは、失敗したくないから。
既製品と違って、セミオーダーは簡単に買い替えられるものではありません。
この色で本当に良かったのか、使っていくうちに後悔しないか、何年も使い続けられるか、色を選ぶという行為がただの「見た目」ではなく、これからの自分の時間や感覚を選ぶことになっているからこそ悩むのです。
それは決して、感覚が鈍いからではありません。
悩む=ちゃんと考えている証拠だと、僕は思っています。
作り手の本音。セミオーダーに「正解の色」はありません
ここで、作り手として正直な本音をお話しします。
セミオーダーに「正解の色」はありません。
「この色の組み合わせが一番人気です」「迷ったらこの組み合わせです」そう言いたくなる気持ちもありますし、実際におすすめの配色はあります。
でも、それがその人にとっての正解かどうかは、正直作り手にも断言できません。
なぜなら、革は使う人の手に馴染み、使う時間と一緒に変化し、その人の生活の一部になっていく素材、「似合う色」よりも「なぜか惹かれる色」のほうが、結果的に長く大切に使われることが多い。
これはこれまで沢山の方から相談を受けてきて強く感じていることです。
悩んだ時間は、その人の物語になる
色を決めるまでに、何度も写真を見比べたり、家族やパートナーに相談したり、一度決めてから、また悩み直したり、そうやって過ごした時間は完成した革小物には直接は見えないかもしれません。
でも、不思議なことに悩んだ時間が長い人ほど、その革小物をとても大切に使ってくれます。
それは、その革小物に「選んだ理由」と「迷った記憶」がちゃんと宿るから。
悩んだ時間そのものがその人だけの物語になるのだと思っています。
だから、ATELIER SABOでは革の悩み相談室があります。
「色を決めきれない」「セミオーダーが不安」という方はぜひご相談ください。
ここでは、無理に決断を急がせることはしません。正解を押しつけることもしません。売るための誘導もしません。
ただ「なにで悩んでいるのか」「どこが引っかかっているのか」そこを一緒に言葉にしていく場所です。
不思議なもので、話しているうちに「これでいいかも」ではなく「これがいい」に変わる瞬間があります。
うまく選ぶより、納得して選ぶ。
セミオーダーはうまく選ぶことより、納得して選ぶことのほうがずっと大事です。
だから、悩んでください。
その時間も含めて完成した革小物は、きっとあなたにとってかけがえのないものになります。
もし今、色やセミオーダーで立ち止まっているなら一人で抱え込まず、革の悩み相談室にご連絡ください。
作り手として、同じ目線で一緒に考えます。



